CONMEBOL Libertadores コンメボル・リベルタドーレス 2018

バス襲撃事件で中止&延期 東京の“スーペルクラシコ観戦会”の様子も併せてお届け

リーベルプラテンセによるバス襲撃事件を契機として開催中止と延期が決まったリベルタドーレスの決勝 2nd.Leg の“ブエノスアイレス-東京レポート”
▲ 試合開始が危ぶまれていた最中、エル・モヌメンタルの外では暴徒化した一部のリーベルプラテンセが武装した軍警察と抗争に発展
24日の17時(日本時間で25日午前5時)に行われる予定であったリベルタドーレスの決勝 2nd.Leg は、1st.Leg に続き順延となった。ただし、天災(集中豪雨)による不可抗力で順延した 1st.Leg とは違って、今回は事情や背景が異なる。暴徒化した一部のリーベルプラテンセ(リーベル・プレートのサポーター)による投石や催涙ガス投げ込みによる妨害行為により、ボカの選手が予期せぬ負傷をする事態に発展。この影響は、スーペルクラシコを楽しみにしていた世界中のフットボールフリークを混乱におとしめるに十分なものだった。

元々、リベルタドーレスの決勝は毎年水曜日の夜(日本時間で木曜日のお昼前)にホーム&アウェイで開催されてきた。南米王者はいつも水曜日(日本時間では木曜日)に決まってきたカテゴリーだった。それが今年の決勝に限っては、スーペルリーガ(アルゼンチンの国内リーグ)の日程を変更させてでも、週末の明るい時間帯(日本時間では未明の辛い時間帯)で開催することを重視。それはひとえに、宿敵同士がぶつかる大一番で少しでも危険度を下げるには、深夜開催よりも日中に済ませたほうがベターであろうとする、CONMEBOL(南米サッカー連盟)やAFA(アルゼンチンサッカー協会)らの意向もあったからであった。

▲ 「もはや重要なのが無事に試合を終えることになってしまっている現実が悲しい」と憂いを口にした元アルゼンチン代表MFファン・ロマン・リケルメ氏
集中豪雨に見舞われてピッチコンディションが劣悪で雨天順延になった10日の 1st.Leg はさておき、開催時刻を夜から日中へスライドさせただけで順調に事が運ぶほど、今年のリベルタドーレス決勝は平穏なスポーツイベントではない。事件はキックオフ予定の約2時間前に発生した。

(ここからは、日本へ一時帰国されて当サイトの編集長らと同席されていたブエノスアイレス在住のフットボールライター、藤坂ガルシア千鶴さん(twitterアカウント @chizurufgarcia )の情報収集を併記して時系列でお伝えします)

※ 以下は日本時間
午前3時過ぎ、ボカの選手御一行を乗せたバスは、ブエノスアイレスのリベルタドール通りを通ってエル・モヌメンタルに入場しようとした。ボカの選手御一行が乗車したバスには、ボカのチームカラーやエンブレムがプリントされていた。そのバスが、エル・モヌメンタルに到着する直前になったとき、沿道で待ち構えていたリーベルプラテンセ(リーベル・プレートのサポーター)の一部が、ボカのバスめがけて異物を投げつけた。投げられた異物により、バスはフロントガラスやサイドガラスが破壊されただけでなく、乗車していたアルゼンチン代表MFパブロ・ペレスやゴンサーロ・ラマルドらの負傷した情報もすぐ明るみになった。

▲ 左目を負傷したパブロ・ペレス(左)と右目を負傷したゴンサーロ・ラマルド(右)
時を同じくして都内某所のとある料理店。ブエノスアイレスで起こっている出来事を逐一拾っていた藤坂ガルシア千鶴さんは、事細かく現地の生々しい様子を同席者に説明した。
「ボカの一行が乗ったバスへ投げ込まれたのは投石だけでなく、催涙ガスなどもあった」
「投石によって割れたガラスの破片が、パブロ・ペレスの眼に刺さったという報道も」
「他にラマルドなど、合計3人が病院へ搬送されたとも」

試合開始予定の午前5時が迫っても、エル・モヌメンタルのピッチに選手が登場するなどの目立った動きはみられず、アクシデントによる遅延はにわかにささやかれ始めていた。

次々に飛び込んでくる生の情報は、リベルタドーレス決勝の2戦連続延期を確信するに十分だった。だが当初、CONMEBOL(南米サッカー連盟)の twitter 公式アカウントは、協議を経て午前7時15分のキックオフを決定したとツイート。これは、大一番を視聴すべく準備をしていた全員を待ちぼうけにさせただけの結果になった。

午前7時15分になっても試合は始まらず、さらにはキックオフ時刻がさらに遅れるとの情報まで流れ始めた。

▲ 試合前のトラブルを受けて合同で記者会見に臨んだ重役たち。左から、ダニエル・アンジェリッシ会長(ボカ・ジュニオルス)、クラウディオ・タピア会長(AFA)、アレハンドロ・ドミンゲス会長(CONMEBOL)、ロドルフォ・ドノフリオ会長(リーベル・プレート)
最終的に当初のスケジュールで行われるはずだった決勝 2nd.Leg は中止になるのだが、そこには紆余曲折があり、スケジュールを遵守したいCONMEBOLやFIFAはボカに「試合を実施する」よう圧力をかけ、ボカのイレブンは重篤な負傷者を理由に順延を主張したことで、「選手vs権力」のあるまじき構図が出来上がる。このようになった背景に、国際大会との兼ね合いがあった。FIFAクラブワールドカップは12月12日開幕で、リベルタドーレス優勝チームの初戦は15日の予定となっている。
リベルタドーレス優勝 2nd.Leg が順延すれば、南米王者を決められる時期はさらに遅延する。さらに前述の大一番を順延するわけにはいかない事情が、アルゼンチン国内にはあった。G20首脳会議が11月30日(金)~12月01日(土)に開催されるのを受けて、首都ブエノスアイレスでは同時期に暴動が起こりかねない試合を実施するわけにはいかなくなっていた。仮にG20の日程変更を打診しようものなら、アルゼンチンとしては国際的な信用問題に発展する。それだけに、G20の日程だけはアルゼンチン政府としても譲歩しないことを前提としている。

▲ 試合を強行しようとするFIFAやCONMEBOLの方針に対して異議を唱えたカルロス・テベス(左)とフェルナンド・ガーゴ(右)
G20への影響を最小限に留めたいサッカー界は、CONMEBOLやFIFAがボカに向けて予定通り試合を実施するよう圧力をかけた。もしボカが試合開催を受け入れない場合は、ボカを失格処分とするといった情報も流れた。いわば「脅迫」だ。国際的なしがらみに悩まされている立場としては、リベルタドーレスの開催強行を主張する以外になかった。だが、当事者は違う。チームメイトの深刻な負傷を受けて、カルロス・テベスやフェルナンド・ガーゴらベテランは試合の順延を主張しただけでなく、このような事態にも関わらず試合を強行しようとするFIFAとCONMEBOLを猛然と批判した。もし仮にこの状況で試合が強行されるようなら、どちらが勝っても暴動が避けられないことは容易に想像できた。

一部の心ないリーベルプラテンセによる妨害行為を受けて、ボカのパブロ・ペレスは左目に眼帯をつけ、ゴンサーロ・ラマルドは右目に眼帯をつけてテレビカメラの前に現れる羽目になった。いずれにせよ、片目の視界を奪われた状況では、試合に出るのは難しい。

かくして、リーベルとボカの両チームは、同日中に試合を強行開催することを拒絶する紳士協定を締結して、CONMEBOLとFIFAに対抗。その結果、最終的に試合の中止と順延が決まり、CONMEBOLは翌26日の午前5時にスライドすることを発表した。一連の出来事を受けて、CONMEBOLのアレハンドロ・ドミンゲス会長は「これは戦争ではなく、フットボールだ」と声明を発表。そしてボカのダニエル・アンジェリッシ会長は「アルゼンチンのクラブチームの会長として、私は今回の出来事を恥ずかしく思う」と遺憾の意を表明した。

▲ 24日の試合中止を受けて、解散前に集合写真に収まる藤坂ガルシア千鶴さん+南米クラスタの各位
都内某所に集まった“南米クラスタ”の面々は、大一番をみんなで楽しむために終結したにも関わらず、中止が決まったことで疲労の色を隠せないでいた。それでも、ブエノスアイレスから遠路はるばる足を運ばれた藤坂ガルシア千鶴さんとの逢瀬を楽しみ、最後は朝日照らされる店外で集合写真を撮って笑顔での解散となった。

だが、ブエノスアイレスは紆余曲折が続き、翌25日の試合開始予定3時間前には再延期が決定。今度は具体的な日時を伏せて、27日に行われる評議会で日時を決めるとの発表がCONMEBOLからなされた。ブエノスアイレスでは月末にG20が開催されるため、スーペルクラシコの開催は12月にずれ込むとみられているが、今度こそ無事に試合を実施できるのか。そこが依然として不透明だ。

2018.11.25

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