DO YOU SPEAK FOOTBALL？世界のフットボール表現事典

vol.24【 chilena 】チレーナ （チリ風、オーバーヘッド・バイシクル・キック）

チリ

フットボールでもっとも派手なプレー、オーバーヘッド・バイシクル・キックを編み出したと広く認められているのは、ラモン・ウンサーガ・アスラである。彼は12才でスペインのビルバオからチリに移住し、チリ国籍を取得した。彼は1914年、タルカワノのクラブ、エストレーリャ・デ・マールでプレーしていた時に、バイシクルを世界初披露したと言われている。

チリ代表となった彼は、1916年にブエノスアイレスで初開催されたコパ・アメリカ(当時の大会名は南米サッカー選手権)で十八番を繰り出し、地元の新聞がこのプレーをチレーナ「チリ風」と呼んだのである。

そして、別のチリ人プレーヤー、ダビド・アレジャーノが、1927年にコロコロの一員としてスペイン遠征した際に、このプレーをヨーロッパの観衆にお披露目した。しかし、コロコロの創設者にしてキャプテンでもあったアレジャーノは、この遠征の最中、バジャドリードのレアル・ウニオン・デポルティーバとの一戦で腹部に強打を受け、腹膜炎を起こして落命するという悲劇的な最期を迎える。コロコロのエンブレムの上に引かれた黒い帯は、彼を讃えて加えられたものである。

（「DO YOU SPEAK FOOTBALL？ 世界のフットボール表現事典」、P.62 より引用） © Eastpress